きょうだいが同じ部屋で三日を過ごすと、三日目に小さな衝突が増える——それを部屋の広さ、つまり畳数で防ぐ、という宿の選び方があります。狭い一間で上の子と下の子が肩を寄せていると、荷物の場所も、遊びと昼寝の場所も重なり、親の「やめなさい」が増えていきます。反対に、12畳以上の和室や、寝室と畳リビングが分かれた客室なら、それぞれが自分の「陣地」を持てて、連泊でも距離を保てます。残暑から秋にかけての連泊で気づいた、部屋の広さと家族の距離の話を、4〜10歳のきょうだい連れという目線で、全国の3軒から書きます。
| # | 宿 | エリア | Score | 客室数 | 目安価格 | 陣地の分け方 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 富士山温泉 ホテル鐘山苑 | 山梨・富士吉田 | 93 | 126 | ¥81–¥110k | 12.5畳+談話室、一間で居場所を分けられる広い和室 |
| 2 | 鬼怒川温泉 あさや | 栃木・鬼怒川 | 90 | 192 | ¥56–¥87,k | ベッドと畳で寝る場所・遊ぶ場所を分ける52㎡の和洋室 |
| 3 | 下呂温泉 水明館 | 岐阜・下呂 | 88 | 264 | ¥50–¥77,k | ベッド・畳・テーブルで三つの居場所を一室に持つ和洋室 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)で、多くは1泊2食付きの価格帯です。
広い部屋で子ども同士の距離を保つ、といっても、陣地の分け方には型があります。ひとつは「広い和室ひと間」で座卓と談話室に散らばる型、ひとつは「ベッドと畳」を家具で仕切る型、もうひとつは「眠る・くつろぐ・食べる」を一室の中で三つに分ける型。3軒を、この三つの型に沿って読んでいきます。
1. 富士山温泉 ホテル鐘山苑 — 山梨・富士吉田
陣地の型:「広い和室ひと間」で分ける
12.5畳の和室に談話室が続く客室。上の子は談話室、下の子は座卓まわり、と一間の中で居場所を分けられる型。
Media Picks Score: 93 / 100 126室、12.5畳+談話室、一間で居場所を分けられる広い和室。
目安価格 ¥81,000〜¥110,000 / 泊(2名1室・通常期)

なぜこの型が家族に効くか
鐘山苑を最初に挙げるのは、和室そのものが広く、一間の中に自然と居場所の境ができるからです。「ゆらく山彦亭 話楽」は露天風呂に加えて12.5畳の和室と談話室が続き、上の子は談話室で本を、下の子は座卓でお絵かき、と別々のことをしながら同じ部屋にいられます。桂亭の和室10畳+4.5畳も、二間続きで昼寝と遊びを分けやすい造りです。連泊の三日目、遊び疲れた子どもが別々の隅に散っても、親の目は一間で届く——広さと見通しの両立が、この宿を家族連れに向かせています。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、庭園と富士山の眺め、そして毎晩20時半から始まる太鼓ショーへの評価が高いことが読み取れます。夕食後に子どもが集中できる「見せ場」があるため、部屋にこもりきりにならずに一日を締められる点が、家族連れの満足につながっているようです。客室の広さと清掃の行き届きを評価する声も安定して多く、一方で価格帯は高めで、料金を第一に選ぶ家族には手が伸びにくい傾向も見て取れます。
具体情報
- 立地: 富士急行線 富士山駅からタクシー約10分(13〜18時は駅から無料送迎あり)
- 客室: 「話楽」は露天風呂+12.5畳+談話室/「桂亭」は和室10畳+4.5畳の二間続き
- 時間: チェックイン15:00/チェックアウト10:00/太鼓ショー毎晩20:30〜
- 食事: 富士山を望む食事処での会席(子ども向けの料理は要相談)
- 規模: 約126室。日本庭園と富士山ビューが看板
- 目安価格: ¥81,000〜¥110,000(2名1室・通常期)
2. 鬼怒川温泉 あさや — 栃木・鬼怒川
陣地の型:「ベッドと畳」で分ける
52㎡の和洋室に、ツインベッドと畳スペースが同居。眠る場所と遊ぶ場所を家具で分けられる型。
Media Picks Score: 90 / 100 192室、ベッドと畳で寝る場所・遊ぶ場所を分ける52㎡の和洋室。
目安価格 ¥56,000〜¥87,000 / 泊(2名1室・通常期)

なぜこの型が家族に効くか
あさやを挙げるのは、和洋室が「寝る陣地」と「遊ぶ陣地」を家具で分けているからです。52㎡の和洋室はベッド2台に加えて畳スペースを備え、下の子が畳でごろごろしている間、上の子はベッドで本を読む、という距離の取り方ができます。2〜4名対応で、家族4人が一室に収まる広さです。13階の空中庭園露天風呂「昇龍の湯」や、和洋中100種のブッフェなど、子どもが自分で動いて選べる仕掛けが多く、連泊でも三日目の「飽き」が出にくいのも、大規模宿ならではの利点と言えます。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、空中庭園露天風呂とブッフェの満足度がそろって高いことがわかります。品数の多いブッフェは、好き嫌いの分かれる年頃の子どもでも食べられる皿を自分で選べるため、親が食事に気を張らずに済むという評価につながっているようです。館内が広く歩き回れる点を良しとする声が多い一方、規模が大きいぶん夕食どきの混み合いや順番待ちを指摘する声もあり、時間帯をずらす工夫が要る宿でもあります。
具体情報
- 立地: 東武鬼怒川線 鬼怒川温泉駅からダイヤルバス約8分(玄関前下車)
- 客室: 和洋室52㎡(ツインベッド+畳スペース、2〜4名)
- 時間: チェックイン15:00/チェックアウト10:00
- 風呂: 13階「空中庭園露天風呂 昇龍の湯」
- 食事: 夕食は和洋中100種のブッフェ/朝食は和洋60種
- 規模: 約192室。130年以上続く老舗
- 目安価格: ¥56,000〜¥87,000(2名1室・通常期)
3. 下呂温泉 水明館 — 岐阜・下呂
陣地の型:「三つの居場所」で分ける
ベッド・畳・テーブルが一室に並ぶ和洋室。眠る・くつろぐ・食べるを場所で分けられる型。
Media Picks Score: 88 / 100 264室、ベッド・畳・テーブルで三つの居場所を一室に持つ和洋室。
目安価格 ¥50,000〜¥77,000 / 泊(2名1室・通常期)

なぜこの型が家族に効くか
水明館の臨川閣12階の和洋室は、10畳の畳にツインベッドと広縁・バルコニーが続き、一室の中に「眠る場所」「畳でくつろぐ場所」「テーブルで過ごす場所」の三つができます。きょうだいが同じ部屋にいても、上の子はテーブルで宿題、下の子は畳でブロック、と三つの居場所に散らばれるため、三日目の距離が保ちやすい造りです。昭和7年創業、3つの宿泊棟に264室という規模で、館内には3つの大浴場があり、湯めぐりで体を動かせます。下呂駅から徒歩約3分と、連泊中の街歩きに出やすい立地も家族向きです。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、館内の湯めぐりと川沿いの立地、そして歴史ある宿ならではの落ち着いた応対への評価が高いことが読み取れます。3つの大浴場を家族で回れる点は、長い連泊の時間を持て余さない工夫として支持されているようです。料理は川魚を軸にした会席で、品数と地の食材への評価が目立つ一方、館が広く棟によって新しさに差があるため、部屋のタイプ選びで印象が変わる宿でもあります。
具体情報
- 立地: JR高山本線 下呂駅から徒歩約3分
- 客室: 臨川閣の和洋室=10畳+ツインベッド+広縁・バルコニー(2024年4月リニューアル)
- 風呂: 3つの大浴場で館内湯めぐり
- 食事: 川魚を軸にした会席料理
- 規模: 昭和7年(1932年)創業。3つの宿泊棟に264室
- 目安価格: ¥50,000〜¥77,000(2名1室・通常期)
よくある質問
Q. 4〜10歳の子どもでも泊まれますか?
A. 三軒とも子ども連れの受け入れがあり、添い寝や子ども料金の設定があります。年齢区分や食事内容は宿とプランで異なるため、予約時に人数と子どもの年齢を伝えて確認するのが確実です。
Q. 連泊のとき、夕食は毎晩同じですか?
A. あさやはブッフェで献立が日替わりしやすく、鐘山苑と水明館は会席のため連泊で献立を替える相談ができます。三日目の「同じで飽きた」を避けたいときは、予約の段階で連泊の献立変更を伝えておくと安心です。
Q. アレルギー対応はできますか?
A. 会席の二軒は事前申告でアレルギー対応の相談ができます。ブッフェのあさやは品数が多く、原材料の表示を確認しながら子ども自身が選べる利点があります。いずれも事前連絡が前提です。
Q. ベビーカーや小さい子の館内移動は?
A. 三軒とも大規模で、部屋から浴場や食事処までの移動距離が長めです。エレベーター利用が基本になるため、到着時に館内マップで部屋・浴場・食事処の位置を押さえておくと動きやすくなります。
Q. 駐車場はありますか?
A. 三軒とも自家用車での宿泊に対応した駐車場があります(台数・料金は各宿に確認)。水明館は下呂駅から徒歩約3分で、電車での連泊にも向きます。
編集部から
連泊の三日目に増えるきょうだいの小競り合いは、しつけの問題というより、居場所の問題であることが多い——3軒を選びながら、あらためてそう感じました。12.5畳の和室と談話室、52㎡の和洋室、ベッドと畳とテーブルの三つの居場所。型は違っても、共通するのは「同じ部屋にいながら、別々のことができる広さ」です。日中は敷地で体を動かし、夕食は少し早めに始め、夜は部屋で別々に過ごす。その組み立てができると、親の言葉は自然と減っていきます。次の連泊で、あなたの家族はどの型の部屋だと過ごしやすいでしょうか。畳数から宿を選ぶ、という視点を一度試してみてください。
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