白馬で小学生と山を歩きたいとき、いちばん現実的なのは「登らない標高」を買うことです。宿のある白馬村の集落はおよそ標高700m。そこからゴンドラとロープウェイを乗り継げば、栂池自然園の標高1,900mまで約30分で上がれます。自分の足で歩くのは、そこから先の平坦な木道だけ。装備も体力も山小屋泊も要らないまま、雲より下に町が見える高さに立てます。1日目は移動と温泉で体を休め、2日目の午前に高原を歩いて昼過ぎに下りる。この2日間の時刻表を、白馬村の宿2軒を起点に組みました。
| # | 宿 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 白馬東急ホテル | 白馬村・和田野 | 92 | 102 | ¥52–¥86k | 八方バスターミナルまで送迎3分、夕食は17時半から |
| 2 | 白馬ハイランドホテル | 白馬村・北城 | 89 | 72 | ¥35–¥57k | 約40㎡の和洋室と段差を抑えた家族向け客室、白馬駅から徒歩15分 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
この2日間の考え方 — 「登る」のではなく「上がってから歩く」
小学校低学年から中学年の子どもを連れた山歩きで最初につまずくのは、登山口から樹林帯を延々と登る往路です。白馬ではその区間を索道が肩代わりします。八方尾根では、ゴンドラリフト「アダム」(八方駅→兎平駅・8分)、アルペンクワッドリフト(兎平→黒菱平・約7分)、グラートクワッドリフト(黒菱平→八方池山荘・約5分)の3本を乗り継ぐ八方アルペンラインが、総延長3,445m・標高差1,060mを約40分で上がり、標高1,830mの第1ケルン・八方池山荘に着きます。栂池では、ゴンドラリフト「イヴ」(栂池高原駅→栂の森駅・約20分)と栂池ロープウェイ(栂大門駅→自然園駅・約5分)を乗り継ぎ、乗り換え時間を含めて約30分で標高1,900mの栂池自然園に到達します。
そのうえで、実際に歩く区間の性格が二つの尾根で大きく違います。栂池自然園のみずばしょう湿原コースは行程距離約1km・往復約1時間で、湿原をぐるりと回るバリアフリー木道と起伏のないコースだと自然園の公式案内が明記しています。小さな子どもや年配の人でも歩けることを前提に整備された道です。一方、八方尾根の八方池は標高2,060m。八方池山荘との標高差は約230mで、公式サイトも八方池へのページを「はじめての登山」と位置づけています。木道だけで完結する栂池と、登山として扱われる八方。初回は前者、山慣れしてきたら後者、という順番が無理のない組み立てです。
Day 1 — 到着、温泉、そして17時半の夕食
1日目は歩きません。標高700m前後の宿にいったん体を慣らし、翌朝の早い出発に備える日です。目安の時刻表は次のとおりです。
- 14:00頃 白馬村着。宿の送迎はJR白馬駅・白馬八方バスターミナルのいずれからも出ています
- 15:00 チェックイン(2軒とも15時から)。荷ほどきの前に、翌日のリュックだけ先に作ってしまう
- 15:30–17:00 温泉。標高が上がる前日に長湯をしすぎない程度に
- 17:30 夕食開始。白馬東急ホテルのレストラン「シャモニー」は17:30から、白馬ハイランドホテルは約40種類の夕食バイキング
- 19:30–20:00 就寝準備。翌朝の始発ゴンドラに合わせるなら、この時間に布団に入っておきたい
翌日のリュックを前夜に作るのは、朝の30分を確実に節約できるからです。標高1,900mの木道は夏でも風が通り、晴れていても長袖の上着が要ります。飲み物は自然園内に自動販売機がない前提で、子ども1人あたり500mlを2本。栂池自然園の楠川の川辺は、天気のよい休日に弁当を広げるグループでにぎわう場所として公式に紹介されており、開園後しばらくすると時期限定の仮設トイレも設置されます。昼食を持ち上がるなら、宿に弁当を頼めるか前日までに確認しておくと動きやすくなります。
Day 2 — 朝いちばんで標高を稼ぎ、昼過ぎに下りる
2日目の骨格は「午前に上がって歩き、昼食後に下りる」です。午後は山の天気が崩れやすく、子どもの集中も切れます。栂池を選んだ場合の目安は次のとおりです。
- 7:00–7:30 朝食。白馬東急ホテルの朝食ブッフェは7:00から(最終入場9:30)
- 8:30頃 宿を出発。八方尾根・岩岳・栂池高原を結ぶ無料シャトルバスを使うか、車で栂池高原へ
- 9:30–10:00 ゴンドラ「イヴ」約20分+ロープウェイ約5分。乗り継ぎ込みで約30分、標高1,900mへ
- 10:00–11:00 みずばしょう湿原コース(約1km・往復約1時間)。物足りなければわたすげ湿原まで延ばして約2km・往復約1時間30分
- 11:00–12:00 楠川の川辺か自然園入口付近で昼食。北アルプスからの冷たい水に触れる時間を取る
- 12:30–13:30 下山。索道は往復とも同じ経路を戻ります
- 14:00頃 白馬村着。時間が余れば宿の日帰り入浴で汗を流してから帰路へ
コース選択は当日の子どもの様子で決められます。みずばしょう湿原(約1km・往復約1時間)で切り上げる、わたすげ湿原(約2km・往復約1時間30分)まで足を延ばす、の2択で十分です。その先の浮島湿原は約3km・往復約2時間30分で、公式案内も「アップダウンが大きくなってきます。道も登り道になり木道以外の山道を歩く部分もあるのでしっかりとしたトレッキングの準備を。」と書いています。入門の2日間で無理に踏み込む区間ではありません。
高山病は標高2,500m以下ではまれとされますが、1,900mへ一気に上がると子どもが頭痛や吐き気を訴えることはあります。索道を降りたら10分ほど動かずに立ち止まる、歩き出しの30分はわざと遅く歩く、20〜30分ごとに一口ずつ水を飲ませる。この3つで大半は防げます。昼寝の習慣が残っている年齢なら、下山後の車内やバス内で眠る前提にして、山の上での滞在を午前中に寄せておくのが安全です。
八方尾根を選ぶなら
八方アルペンラインは2026年5月30日・31日と6月6日から11月3日まで運行しています。上り線が使えるのはグラートクワッドリフトの営業終了30分前までなので、夕方の駆け込みはできません。運賃は全区間往復で大人3,500円、小児2,300円。ここでいう小児は小学生、大人は12歳以上(中学生から)で、未就学児は大人1名につき1名まで無料です。
八方池山荘(標高1,830m)で引き返し、第1ケルン周辺から白馬三山を眺めるだけでも、索道代に見合う景色は得られます。八方池(標高2,060m)まで往復するなら標高差約230mを登り返すことになり、道は木道と岩まじりの登山道が交互に現れます。低学年の初回には荷が重く、中学年以上で栂池を歩き慣れた次の一歩、と考えるのが現実的です。
1. 白馬東急ホテル — 白馬村・和田野
白馬八方バスターミナルまで送迎3分。夕食17時半、朝食7時、風呂は朝5時から。山へ向かう家族の時刻表に合う102室のリゾートホテル。
Media Picks Score: 92 / 100 102室、リゾートホテル。
目安価格 ¥52,000–¥86,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
山へ向かう家族の一日は、宿の時刻表とかみ合うかどうかで決まります。この宿はレストラン「シャモニー」の夕食が17:30から始まり(ラストオーダー20:30)、朝食ブッフェは7:00から。大浴場は朝5:00から11:00まで開いています。早く食べて早く寝て、始発の索道に間に合わせる動線が、施設側の営業時間だけで成立します。加えて白馬八方バスターミナルまで送迎車で約3分、JR白馬駅から約8分という位置で、送迎は8:00から20:00まで事前予約制で運行しています。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、この宿への評価は北アルプスに向いた立地と、pH11.2という高いアルカリ度をもつ白馬八方温泉の湯ざわりに集まる傾向が見て取れます。2018年から2019年にかけて客室とレストラン、ラウンジがリニューアルされた区画と、それ以外の区画で受け止めが分かれる様子もうかがえます。家族連れの利用については、食事の時間帯の選びやすさと送迎の使い勝手が評価される一方、価格帯が白馬村の平均より上に位置することへの言及も見られます。
向く人 / 向かない人
-
向く:
朝いちばんの索道に乗るために早い夕食と早い朝食が要る家族、7〜12歳の子どもと大人2名で泊まる旅程、車を使わず送迎とシャトルバスだけで八方・栂池の両方へ行きたい人 -
向かない:
1泊5万円台からの価格帯を超えたくない旅程、大人1名と子ども1名の2人旅(子ども料金は大人2名同伴が条件で、この構成では大人料金の扱いになります)、3歳以下の子ども連れ(子ども料金の対象は4歳から)
具体情報
- アクセス: 白馬八方バスターミナルから送迎車で約3分/JR大糸線 白馬駅から送迎車で約8分(送迎8:00〜20:00・要事前予約)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: レストラン「シャモニー」朝食ブッフェ 7:00〜10:00(最終入場9:30)、ディナー 17:30〜21:00(L.O.20:30)。ほかに日本料理「万葉」
- 温泉: 白馬八方温泉(アルカリ性単純温泉・pH11.2)。露天風呂付き大浴場 5:00〜11:00/13:00〜25:00(清掃11:00〜13:00)、サウナは男性大浴場のみ
- 子ども料金: 4〜12歳が対象(大人2名同伴が条件)。夕朝食付は7〜12歳が大人の70%・4〜6歳が50%、朝食付は4〜12歳が70%。添い寝は6歳以下の未就学児のみ
- 駐車場: 普通車70台
- 入湯税: 1泊150円(12歳未満は課税免除)
- 休館予定: 2026年11月16日〜12月12日はメンテナンス休館(宿泊再開は12月13日から)。ほかに6月16日〜26日も休館。いずれも夏休み期間の営業には影響しません
2. 白馬ハイランドホテル — 白馬村・北城
白馬駅から徒歩15分。約40㎡の和洋室と、段差を抑えた1階のファミリールーム2室。歩いた日の夜に子どもが動きやすい宿。
Media Picks Score: 89 / 100 72室、リゾートホテル。
目安価格 ¥35,000–¥57,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
歩いた日の夜に効いてくるのは、部屋の広さと段差の少なさです。この宿の和洋室は約40㎡で定員2〜5名。さらに北アルプス側1階に、ユニバーサルデザインで設計したファミリールームが洋室・和洋室で各1室、いずれも約40㎡・定員3名あり、大浴場とレストランに近い配置になっています。風呂も同じ考え方で、宿泊者専用の「わらび平の湯」は段差を最小限に抑えて浴室に手すりを設けたと公式が明記しています。加えてJR白馬駅から徒歩15分、白馬駅・八方バスターミナル・白馬町からの無料送迎が9:00〜17:00で動いており、車を持たない家族でも成立します。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、この宿では風呂からの眺めと、白馬・信州の食材を使った約40種類の夕食バイキングへの評価が目立ちます。客室については、北アルプス側と東の森側で受け止めが分かれる傾向があり、眺望を重視するかどうかで満足度が動く様子が読み取れます。建物や設備に年季を感じたという趣旨の指摘も一定数見られ、新しさより広さと温泉を優先する家族に向く宿という位置づけがうかがえます。
向く人 / 向かない人
-
向く:
3〜5人で1部屋にまとまりたい家族、ベビーカーや小さい子どもがいて段差を避けたい旅程、車を使わず白馬駅から送迎で入りたい人、1泊3万円台から組みたい旅程 -
向かない:
約40㎡の和洋室を確実に押さえたい人(和洋室は5室、ファミリールームは2室と数が限られます)、客室の新しさを優先する人、洋室ツインで3人以上を想定している旅程(約20㎡・定員3名で、荷物が多いと手狭になります)
具体情報
- アクセス: JR大糸線 白馬駅から徒歩15分(無料送迎あり)。送迎は白馬駅・八方バスターミナル・白馬町、9:00〜17:00
- 客室: 全72室・最大収容180人。洋室ツイン 約20㎡(定員1〜3名)、和洋室 約40㎡(定員2〜5名・5室)、ファミリールーム 約40㎡(定員3名・2室)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 夕食は信州・白馬の食材を使った約40種類のバイキング、朝食もバイキング
- 温泉: 自家源泉の白馬姫川温泉。「わらび平の湯」宿泊者利用 5:00〜10:00/15:00〜23:00、「天神の湯」11:00〜24:00(女性側にベビーベッド)
- 貸切風呂: 「八方」一枠50分3,000円、当日フロントで予約、宿泊者専用
- 日帰り入浴: 11:00〜18:00(最終受付17:00)/中学生以上1,000円、3歳〜小学生500円
- 駐車場: 無料100台(大型バス15台)
- 子ども対応: 子ども用浴衣はフロントで貸出。幼児は添寝扱いで定員に含まれず、添寝幼児の寝具・アメニティは料金に含まれません
よくある質問
Q. 小学生の索道の料金はどうなりますか?
A. どちらも小学生は「小児」区分です。八方アルペンラインは全区間往復で小児2,300円・大人3,500円、大人は12歳以上(中学生から)です。栂池はゴンドラとロープウェイの往復に自然園入園料を含めて小児2,200円・大人4,000円で、こちらは大人が中学生以上、小児が小学生。未就学児は大人1名につき1名まで無料ですが、2人目からは小児の乗車券が必要になります。
Q. 車がなくても2日間の行程は組めますか?
A. 組めます。八方尾根・白馬岩岳・栂池高原を周遊する無料シャトルバスが2026年5月30日から11月3日まで運行しており、いずれかのゴンドラ・リフト・ロープウェイをその日に利用する人が乗車できます。宿の側も、白馬東急ホテルが白馬駅・八方バスターミナルへの送迎を8:00〜20:00の事前予約制で、白馬ハイランドホテルが白馬駅・八方バスターミナル・白馬町への送迎を9:00〜17:00で運行しています。
Q. 何歳から歩けますか?
A. 栂池自然園のみずばしょう湿原コースは、湿原を回るバリアフリー木道と起伏のないコースで小さな子どもでも歩けると自然園の公式案内が示しており、往復約1時間・約1kmです。未就学児でも歩ける設計ですが、その先の浮島湿原(約3km・往復約2時間30分)はアップダウンが大きく木道以外の山道も含むため、公式もしっかりしたトレッキングの準備を求めています。八方池は標高2,060m、八方池山荘からの標高差約230mで、公式サイトも「はじめての登山」として案内しており、栂池より一段難度が上がります。
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 栂池のグリーンシーズンは2026年6月6日から10月25日まで、八方アルペンラインは5月30日・31日と6月6日から11月3日までです。栂池自然園の公式案内では7月から8月上旬がもっとも花の多い時期とされ、夏休みと重なります。ただし夏休み最盛期は索道も混みます。栂池のゴンドラは7月25日・26日、8月1日・2日、8月8日〜16日が7:00運行開始で上り最終16:50と長く動くので、この期間に行くなら朝いちばんに寄せるのが編集部の考えです。
Q. 子どもの高山病は心配ないですか?
A. 栂池自然園が標高1,900m、八方池山荘が1,830mで、いずれも一般に高山病が問題になりにくい高さですが、索道で一気に上がる分だけ体は驚きます。降りてすぐ歩き出さずに10分ほど止まる、最初の30分は意識してゆっくり歩く、20〜30分ごとに少量ずつ水を飲む、という3点で大半は避けられます。頭痛や吐き気が出たら我慢させず下りる判断を早めに。昼寝の習慣が残る年齢なら、山の上の滞在を午前中に寄せ、下山後の移動中に眠らせる組み方が無理がありません。
Q. 白馬村の宿泊税はいくらかかりますか?
A. 2026年6月1日から課税が始まりました。1人1泊の宿泊料金(素泊まり・税抜)が6,000円以上の場合に課税され、6,000円以上20,000円未満で200円、20,000円以上50,000円未満で400円、50,000円以上100,000円未満で900円、100,000円以上で1,900円です(長野県宿泊税100円を含む、2026年6月1日から2029年5月31日までの税率)。子どもも宿泊者として課税対象になり、免除は学校の教育活動などに限られるため家族旅行では適用されません。
本記事の参考情報
・白馬八方尾根 八方アルペンライン — 索道の区間・所要時間・運賃・営業期間
・白馬つがいけマウンテンリゾート つがいけロープウェイ — グリーンシーズンの運行時間と料金
・栂池自然園 歩き方 — 各コースの距離・往復時間・季節の見どころ
・白馬村 宿泊税のご案内 — 課税開始時期・税率・課税免除の範囲
編集部から
白馬の夏を家族で歩くとき、いちばん贅沢なのは「引き返せること」だと思います。索道で上がった標高1,900mの木道は、往復1時間で切り上げても、1時間30分に延ばしても、その日の子どもの機嫌に合わせて選べます。頂上を踏むという目的がない分、途中でやめても誰も失敗したことになりません。今回の2軒は、その柔軟さを支える時刻表を持っている宿として選びました。八方の湯で翌朝の空模様を眺めるか、姫川の湯船から明日登る尾根を見比べるか。同じ村の中でも、夜の過ごし方はずいぶん違います。この2日間を歩き切った子どもが、次はどちらの尾根を指さすでしょうか。
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・ロープウェイ・ゴンドラで標高を稼げる夏の高原リゾート 5 軒 — 白馬以外にも索道で標高を買えるエリアを比較する
・上高地・乗鞍高原で標高 1,500m 級の家族リゾート 4 軒 — マイカー規制のあるエリアで動線をどう組むか
・長野・諏訪湖と霧ヶ峰高原で 7〜11 歳と過ごす 2 泊 3 日 — 同じ長野県内、もう1泊足す場合の組み立て