2026年の中秋の名月は9月25日(金)、後の月「栗名月」は10月23日(木)。旧暦の日本には月が二度、名前を変えて訪れる季節がある。里芋の煮っころがしを盛った芋名月の膳、栗ごはんが並ぶ栗名月の膳。同じ月なのに献立が変わることを、4-10歳の子どもと一緒に味わえる家族向けの宿を5軒選んだ。縁側・庭・湖畔・海辺、それぞれの場所で東の空を仰げる立地条件も揃えている。

# ホテル エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 和倉温泉 宿守屋寿苑 石川・和倉温泉 92 65 ¥22–¥33k 全客室が七尾湾に面し、東の海から昇る月をそのまま望む和会席の宿
2 なにわ一水 島根・松江宍道湖 91 25 ¥68–¥101k 宍道湖の月見と全室バリアフリー、多世代家族の月見旅に向く一軒
3 奈良ホテル 奈良・高畑町 90 127 ¥68–¥120k 1909年創業の関西の迎賓館、興福寺・猿沢池の月見スポットに徒歩圏
4 丹後・食の宿 みのり旅館 京都・京丹後夕日ヶ浦 90 20 ¥39–¥69k 日本海の水平線に沈む夕日と昇る月、地魚と季節野菜の料理旅館
5 美味し国の料理旅館 橘 三重・志摩磯部的矢 90 16 ¥32–¥38k 的矢湾を見下ろす高台、朝日・星空・月の観測がしやすい静けさ

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

1. 和倉温泉 旅館 宿守屋寿苑 — 石川・和倉温泉

全65室すべてが波静かな七尾湾に面し、東から昇る月を客室の窓から見上げられる。芋名月の月見膳を家族で囲むなら、まずこの一軒。

Media Picks Score: 92 / 100  65室、料理旅館。

目安価格 ¥22,000–¥33,000 / 泊 (2名1室・通常期)


和倉温泉 旅館 宿守屋寿苑 — 石川県七尾市和倉温泉 · 七尾湾に面する全客室海側の料理旅館
PHOTO: 和倉温泉 旅館 宿守屋寿苑 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

能登島大橋を対岸に、七尾湾の東側に建つ料理旅館。芋名月の日は東の海から月が昇るため、客室の窓辺・湾に張り出したロビー・貸切露天のいずれからも月見ができる立地が第一の理由。第二に、加賀・能登の魚介と山菜を組み合わせた和会席が家族向けの量と品数で仕立てられており、里芋・栗など旬の煮物を献立に取り込みやすい料理旅館としての基礎体力がある。第三に、65室規模で貸切風呂を複数持ち、幼児連れの入浴時間を家族単位で確保できる運営。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、客室からの海の眺めと会席料理の完成度への言及が最も多い層で、次いで従業員の子ども対応の丁寧さ、貸切露天の予約しやすさへの評価が確認された。数値評価は平均5.0(1969件)と満点付近が安定している一方、館内の一部段差や、大浴場までのアクセス動線が長いことを気にした感想も少数見られた。総じて、月見のできる立地・料理旅館としての実力・家族運営の柔らかさが三本柱として支持されている。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    月見と海景を同時に楽しみたい家族、和食を子どもと親でシェアしたい旅程、貸切風呂で幼児と入浴したい親子2〜3世代
  • 向かない:
    ベビーカーで館内をすべて移動したい旅程(一部に段差あり)、洋食主体の食事を希望する家族、金沢市街から公共交通で直行したい旅程(和倉温泉駅からのアクセス)

具体情報

  • 最寄り駅: JR和倉温泉駅から車で約5分(送迎バスあり、要予約)
  • 客室: 65室、全室海側、和室中心で家族用の広めの部屋あり
  • 食事: 夕食は個室または食事処、加賀・能登の魚介中心の和会席
  • 子ども対応: 子ども料金設定あり、キッズメニュー相談可、和室での添い寝可
  • 月見条件: 東向きの湾に面し、9月・10月の東の月がロビー・客室から視認可能


2. なにわ一水 — 島根・松江宍道湖

宍道湖に面した全25室、うち20室が露天または展望風呂付き、10室がバリアフリー対応。祖父母・親・孫の三世代で月見に来る旅程を想定した運営が徹底されている。

Media Picks Score: 91 / 100  25室、和風旅館。

目安価格 ¥68,000–¥101,000 / 泊 (2名1室・通常期)


なにわ一水 — 島根県松江市 · 宍道湖畔・ユニバーサルデザインの温泉旅館
PHOTO: なにわ一水 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

宍道湖は古くから月の名所として知られ、湖面に映る月と夕焼けが観光庁「日本の夕陽百選」にも選ばれている。なにわ一水は湖の北岸に位置し、全客室に湖側の窓を持ち、東の空をそのまま望める設計。加えて、バリアフリー客室が10室、UDデザイン国際賞(IAUD International Design Award)ゴールドを2020年に受賞するなど、多世代の家族利用を運営の中心に据えている点が他の温泉旅館と一線を画す。宍道湖の七珍(スズキ・モロゲエビ・アマサギ・シラウオ・シジミ・鯉・ウナギ)を用いた郷土会席は、子どもが食べやすい調理法へ変更可能。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、宍道湖の景観への言及が突出しており、次いで客室露天からの湖の眺望、朝食のシジミ汁への評価が確認された。祖父母を連れた家族利用の感想では、車椅子対応や段差のない動線が助かったという記述が多く、施設のユニバーサルデザインが実利用で機能していることがうかがえる。反面、湖畔立地ゆえに松江市街の飲食街から少し距離があり、夕食後に街歩きを組み込みにくいという指摘も一部にあった。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    祖父母を連れた三世代家族、車椅子・ベビーカー同伴の月見旅、宍道湖の夕日と月の両方を1泊で見たい旅程
  • 向かない:
    予算¥50,000以下で1室2名を組みたい家族、松江城下町の夜の街歩きが目的の旅程、客室露天以外に大浴場中心の利用を望む家族

具体情報

  • 最寄り駅: 一畑電車 松江しんじ湖温泉駅から徒歩約7分
  • 客室: 全25室、うち20室に露天または展望風呂、10室がバリアフリー
  • 食事: 夕朝食ともに個室または食事処、宍道湖七珍の郷土会席
  • 子ども対応: ベビーベッド貸出あり、子ども料金設定あり、添い寝可
  • 受賞歴: IAUD International Design Award Gold(2020)


3. 奈良ホテル — 奈良・高畑町

1909年(明治42年)創業、辰野金吾ら設計の「関西の迎賓館」。興福寺・猿沢池・浮見堂という月見の名所を徒歩圏に置き、家族で歴史的建築に泊まりながら月見のできる希少な選択。

Media Picks Score: 90 / 100  127室、クラシックホテル。

目安価格 ¥68,000–¥120,000 / 泊 (2名1室・通常期)


奈良ホテル — 奈良県奈良市高畑町 · 1909年創業、興福寺・猿沢池至近のクラシックホテル
PHOTO: 奈良ホテル — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

選定理由は3つ。第一に、奈良の月見は千数百年の歴史があり、猿沢池の采女祭(9月中秋の名月の日)は名月に因む祭事として今も続いている。ホテルから猿沢池・興福寺五重塔・浮見堂までいずれも徒歩10-15分圏で、9月25日の芋名月の夜に家族で祭見物と月見を組み合わせられる立地。第二に、明治42年築の本館は木造和洋折衷、階段・調度・シャンデリアなどの歴史的建築要素が子どもの記憶に残る空間として機能する。第三に、和洋のダイニングを併設し、和食「花菊」で会席、洋食「三笠」でクラシカルなコース料理を選べる。子どもの好みに合わせた献立設計がしやすい。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、本館の建築美と歴史的雰囲気への言及が最も多く、次いで庭園越しの若草山の眺望、朝食の丁寧さへの評価が確認された。子連れ利用の感想では、スタッフの子ども対応と、館内を歩く際の演出(照明・音・木の匂い)への肯定的な記述が目立つ。一方、本館は歴史建築ゆえに客室によっては水回りがコンパクトで、大きな家族連れが2名以上の子どもと同室する場合は新館の家族向け客室のほうが快適という声もあった。数値評価4.53(14,750件)は年数の長い運営ゆえの安定値と読める。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    奈良町・興福寺の月見祭を家族で体験したい旅、歴史的建築を子どもに見せたい家族、和洋を選べる食事構成を望む親子
  • 向かない:
    温泉が主目的の家族(館内に温泉なし)、4人以上で1室を組みたい大家族(新館の家族用客室を要確認)、リゾート型の広い庭やプールを求める旅程

具体情報

  • 最寄り駅: 近鉄奈良駅から徒歩約15分(タクシー約5分)、JR奈良駅から徒歩約20分
  • 客室: 全127室、本館(1909年築)と新館(1984年築)を持つ
  • 食事: 和食「花菊」・洋食「三笠」を併設、朝食は和洋選択可
  • 周辺: 猿沢池・興福寺・浮見堂まで徒歩圏
  • 創業: 1909年(明治42年)10月17日


4. 丹後・食の宿 みのり旅館 — 京都・京丹後夕日ヶ浦

夕日ヶ浦温泉、日本海の水平線に沈む夕日と、東の丹後山地から昇る月を1日で両方見られる立地。20室の小体な料理旅館で、家族単位の食事対応がしやすい。

Media Picks Score: 90 / 100  20室、料理旅館。

目安価格 ¥39,000–¥69,000 / 泊 (2名1室・通常期)


丹後・食の宿 みのり旅館 — 京都府京丹後市網野町夕日ヶ浦 · 日本海に面する料理旅館
PHOTO: 丹後・食の宿 みのり旅館 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

夕日ヶ浦は名前の通り、日本海の水平線に沈む夕日で知られる海岸線。宿は海岸から徒歩数分の場所にあり、夕食前に浜辺で夕日を見て、宿に戻って月見の会席を囲む流れが自然に組める。「食の宿」を名乗る通り、春・秋は季節野菜と地魚の料理を軸に、秋は栗・松茸・銀杏・里芋など月見の食材を献立に組み込みやすい。冬は松葉ガニ料理で知られる宿で、料理旅館としての基礎体力が高い。20室の小規模運営のため、家族単位の要望(子ども用献立、アレルギー対応、食事時間の調整)を通しやすい点も家族旅の理由になる。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、料理の質と量への言及が最も多く、次いで従業員の親身な対応、天然夕日ヶ浦温泉の泉質(美肌の湯)への評価が確認された。家族利用の感想では、子ども向けメニューへの柔軟性、夕食の時間帯調整、幼児連れでの入浴のしやすさへの記述が多く、料理旅館としての細やかさが機能していることがうかがえる。数値評価5.0(399件)と満点で、レビュー数は控えめだが評価密度は高い。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    夕日と月の両方を1日で楽しみたい家族、子どもの好き嫌いに合わせた個別対応を望む親、京都市街から少し足を延ばしたい旅程
  • 向かない:
    公共交通のみで京都駅から2時間以内で到着したい旅程(車推奨)、大浴場・貸切露天の複数併用を望む旅、20室規模ゆえに大人数の団体利用

具体情報

  • 最寄り駅: 京都丹後鉄道 夕日ヶ浦木津温泉駅から車で約5分(送迎あり、要予約)
  • 客室: 全20室、和室中心、家族用の広めの客室あり
  • 食事: 夕朝食ともに料理旅館の会席、秋は地魚と季節野菜、冬は松葉ガニ
  • 温泉: 天然夕日ヶ浦温泉(美肌の湯)、24時間入浴可
  • 周辺: 夕日ヶ浦海岸 徒歩約5分、日没・月の出の観測に適す


5. 美味し国の料理旅館 橘 — 三重・志摩磯部的矢

伊勢志摩国立公園の的矢湾を見下ろす高台に建つ16室の料理旅館。夜は漁火が湾に散り、東の海に月が昇る様子を朝日・星空とともに家族で観察できる。

Media Picks Score: 90 / 100  16室、料理旅館。

目安価格 ¥32,000–¥38,000 / 泊 (2名1室・通常期)


美味し国の料理旅館 橘 — 三重県志摩市磯部町的矢 · 的矢湾を見下ろす高台の料理旅館
PHOTO: 美味し国の料理旅館 橘 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

選定理由の第一は、的矢湾の東側に開けた高台という月見に理想的な立地。市街地の光源から離れているため、月と一緒に星空も見え、9月・10月の月の出前後の時間帯は湾内の漁火と月光が重なる稀有な景色になる。第二に、料理旅館としての実力。的矢かき・あのりふぐ・伊勢海老など三重ブランド認定の食材を秋冬に取り込み、里芋・栗・松茸など月見の献立を組み込みやすい会席の骨格を持つ。第三に、16室の小規模運営で、家族連れの食事時間・献立への個別対応がしやすい。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、料理の完成度と地の食材の使い方への言及が突出しており、次いで湾を望む眺望、静けさへの評価が確認された。家族利用の感想では、子どもへの取り分けの丁寧さ、朝の海と星空の観察のしやすさへの記述が多い。一方、公共交通のアクセスは近鉄「志摩磯部駅」または「鵜方駅」からの送迎(要予約)が基本で、駅からの距離を気にする旅程では車利用のほうが快適という指摘もあった。数値評価5.0(332件)は料理旅館としての満足度の高さを反映する。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    月と星の両方を子どもに見せたい家族、伊勢志摩の食材を秋の献立で味わいたい旅、静けさを優先する少人数の家族旅
  • 向かない:
    伊勢神宮参拝を最短動線で組みたい旅程(車で約30分の距離)、賑やかな観光地の中で滞在したい家族、大浴場・貸切風呂を複数使い分けたい旅

具体情報

  • 最寄り駅: 近鉄志摩線 志摩磯部駅または鵜方駅から送迎あり(要予約)
  • 客室: 全16室、和室中心、家族向けの広めの部屋あり
  • 食事: 秋冬は的矢かき・あのりふぐ・伊勢海老を軸にした会席、朝食は地魚と土地の野菜
  • 立地条件: 的矢湾を見下ろす高台、光害が少なく星空・月・朝日の観察に適す
  • 周辺: 伊勢神宮まで車で約30分、志摩スペイン村まで車で約20分


よくある質問

Q. 芋名月と栗名月の違いを子どもにどう説明すればよいですか?

A. 旧暦8月15日の中秋の名月を「芋名月」、旧暦9月13日の後の月を「栗名月」と呼ぶ日本独自の風習で、9月は里芋の収穫期、10月は栗の収穫期にあたるため、その季節の実りをお供えして月に感謝する意味があります。「同じ月なのに、日本人は昔から2回名前を変えて呼んでいた」と伝え、宿の献立にある里芋・栗を実際に食べながら話すと、子どもの記憶に残りやすくなります。

Q. 予約はいつ頃がよいですか?

A. 9月25日(芋名月)は敬老の日直後の週末近く、10月23日(栗名月)は10月の連休近くで、いずれも家族旅行の需要が高い時期です。人気の月見会席プランは3〜4ヶ月前から予約が入り始め、遅くとも1ヶ月前には主要客室が埋まる傾向があります。7月中の確保が現実的です。

Q. 4-10歳の子どもは会席料理を食べられますか?

A. 記事で紹介した5軒はいずれも子ども用会席・キッズメニューへの対応が可能な料理旅館です。里芋の煮っころがしは幼児から食べやすく、栗ごはんは4歳以降で食物アレルギー確認後に案内するのが安全です。アレルギー対応は予約時に必ず伝えると、当日の献立変更がスムーズです。

Q. 月見に適した客室の希望は伝えられますか?

A. 5軒とも「月見のできる東向き客室希望」を予約時に伝えれば、可能な範囲で調整されます。宿守屋寿苑・なにわ一水・みのり旅館・橘の4軒は湾または湖に面した立地で、東側の窓を持つ客室が多いため月見に適しています。奈良ホテルは館内から月見はしにくいものの、猿沢池・浮見堂まで徒歩圏で夜の散歩と組み合わせられます。

Q. ベビーカー・車椅子での利用は可能ですか?

A. なにわ一水は全客室バリアフリー、10室が車椅子対応で、多世代家族の利用に最も適しています。奈良ホテルは新館が段差の少ない造りで、本館は歴史建築ゆえに一部階段があります。宿守屋寿苑・みのり旅館・橘は伝統的な旅館構造で、館内に段差が残る箇所があるため、事前に確認するのが確実です。

本記事の参考情報

日本政府観光局(JNTO) — 秋の風物詩・月見の歴史
Wikipedia: 十三夜(後の月) — 栗名月・豆名月の由来と歴史
Wikipedia: 中秋の名月 — 芋名月の由来と旧暦の月見文化

編集部から

芋名月と栗名月を1泊で両方は体験できないが、9月25日と10月23日の間の29日を挟んで、家族の暦にひと工夫加える旅程は組める。9月に和倉温泉かなにわ一水で海・湖の月を、10月に奈良ホテルか橘で里山・海辺の月を、というふたつの旅を秋の家族の記憶に残すことは可能だ。子どもが10歳を超えると親と旅行に行く回数が減ることを考えると、4-10歳のうちに旧暦の月と食を結びつける経験を1度でも共有しておく価値は小さくない。次はどこの月を、誰と見に行くか。

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