岐阜・中津川で7〜12歳と栗きんとんを作るなら、屋外の栗拾いではなく、屋内で30分の「絞り体験」を旅程の中心に置くと組み立てやすい。中津川の栗きんとんは、蒸した栗と砂糖だけを裏ごしして布巾(茶巾)で絞る和菓子で、材料が2つしかないぶん、小学生でも工程を最後まで理解できる。体験は雨天でも実施されるため、9月から10月の不安定な空模様でも予定が崩れない。ここでは、42室の温泉ホテルを1軒だけ拠点に選び、体験の受入年齢・実施時刻・夕食の開始時間・客室の定員まで、1泊2日の時間割として並べた。
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

材料は栗と砂糖だけ。だから子どもが工程を追える
中津川は栗きんとん発祥の町とされ、市内には栗きんとんを扱う和菓子店が10店以上ある。販売の解禁は毎年9月1日。観光協会が組む詰め合わせ「中津川栗きんとんめぐり」も同じ日に始まり、冬の入口まで続く季節限定の菓子である。
作り方は驚くほど短い。栗を蒸して実を取り出し、砂糖を加えて裏ごしし、水で濡らした布巾(茶巾)の上に俵形の餡をのせて、きゅっと絞る。それだけで、恵那山の形にたとえられる山型ができあがる。餡を丸める大きさの目安は横4cm・縦3cm・高さ2cmほど。数字で示せる工程なので、7〜12歳は「自分がやったこと」を言葉にして帰れる。バターも卵も生クリームも入らない、材料が2つしかない菓子だからこそ、子どもの理解が最後まで途切れない。
体験で子どもがやるのは「絞る」工程。餡は用意されている
ここは旅程を組む前に押さえておきたい。中津川市千旦林の農産物直売・レストラン施設「ちこり村」が通年で受け付けている栗きんとん絞り体験は、栗を蒸すところから始めるのではなく、すでに炊いた栗と砂糖だけで作られた「栗きんとん餡」を絞るプログラムである。地元のベテランの作り手が講師につき、絞り方を手元で教える形になっている。
そのぶん、体験時間は集合から解散まで約30〜40分と短い。受入年齢は3歳から(4歳未満は保護者同伴、13歳未満は保護者の同意が必要)。1人1,800円(税込・2025年4月1日改定、10名以上は1,700円)で、栗きんとん6個分の餡・手袋・茶巾・紙皿・包装紙・持ち帰り用の化粧箱と紙袋まで含まれる。2名からの申込で、上限は20名。開始時刻は10時と14時の1日2回で、予約は2日前の15時まで。年末年始を除いて無休、そして雨天でも実施される。
「蒸す・裏ごしから全部やる」と思って行くと拍子抜けするが、7〜12歳の集中が続く長さとしては30〜40分がちょうどいい。むしろ絞りの一点に時間を使えるので、6個のうち1個目と6個目で形が変わっていくのが本人にもわかる。持ち帰りの箱に入れるとき、どれが自分の最初の一個かを覚えている子は多い。
拠点にする1軒 — 中津川温泉 ホテル花更紗
恵那山の麓に42室。温水プールのある温浴施設と連絡通路でつながり、雨の日でも子どもの時間が埋まる中津川の家族向けベースホテル。
Media Picks Score: 92 / 100 42室(和室27室、ダブル5室、ツイン8室、和洋室2室)、温泉ホテル。
目安価格 ¥27,000–¥51,000 / 泊 (2名1室・通常期)
中津川温泉 ホテル花更紗は、岐阜県中津川市神坂280、恵那山を望む谷あいに建つ42室のホテルである。館内地下1階に岩風呂と桧風呂の2つの露天風呂付き大浴場を持ち、泉質はナトリウム炭酸水素塩泉。源泉100%だが循環式で、入浴できるのは到着日の15時から翌1時まで、翌朝は5時から10時まで。男女の入替は翌朝5時に行われる。貸切風呂はない。
家族連れにとって効くのは、隣接する温浴施設「クアリゾート湯舟沢」と連絡通路でつながっていることだ。宿泊者は宿泊当日と翌日、追加料金なしで利用できる。温水プールとキッズコーナーがあり、営業は平日10時〜20時、土日祝は10時〜21時。栗きんとんの絞り体験が30〜40分で終わってしまうぶん、残りの午後をここで使える設計になる。館内には卓球場もある。

客室の畳数と定員 — 何人で一部屋に眠れるか
和室は10畳と12畳の2種類。10畳が1〜4名、12畳が1〜6名で、12畳なら小学生2人と大人2人でも布団を並べて余裕がある。2階の和室はアウトバス(トイレ付)、3階と4階はユニットバスという違いがあるので、湯冷めさせずに部屋で洗いたい年齢の子がいる家族は3階以上を希望に添えておきたい。
ベッド派には、2024年4月にリニューアルした28平米のファミリールーム(和洋ツイン)がある。セミダブル2台で1〜4名、3名からは布団を足す形になる。67平米の和洋室は小上がりの6畳とベッドルームを併せ持ち、2〜5名まで。祖父母を交えた3世代なら、20畳のグループ用和室が2室あり、各室10名まで入る。全館全室禁煙。子ども用の浴衣は90cm・100cm・130cmの3サイズがロビーの浴衣コーナーに用意されている。
チェックインは15時(フロント対応は最終24時まで、公式のよくある質問では23時までの到着を案内)、チェックアウトは10時。延長は1時間2,200円で最大12時まで。入湯税は12歳以上1人150円が別途かかる。
夕食と朝食 — 開始時刻と子ども向けの献立
夕食は1階のお食事処で、17時30分・18時・19時のいずれかを選ぶ。部屋食の対応はない。19時開始だと絞り体験と温泉のあとで空腹の限界が来る家庭もあるので、7〜12歳連れなら17時30分か18時が扱いやすい。朝食は7時・7時30分・8時の3枠。いずれも席数に限りがあるため、予約時かチェックイン時にフロントで指定しておく。
献立は月替わりの会席で、基本は11〜12品。子ども向けには2通りの選択肢が用意されている。ひとつは「大人に準ずる食事」で、会席から前菜など2品を減らした構成。もうひとつは料理長が組む子ども向けのディナープレートで、こちらは事前申込制なので予約時に伝える必要がある。小食の子には量を減らした対応も可能だが、当日申し出では間に合わないことがある。
アレルギーは可能な範囲で対応する方針で、宿へ直接問い合わせる形。離乳食を温める電子レンジは2階・3階・4階に置かれており、食事会場でもスタッフに頼めば温めてもらえる。夕食の予約受付は宿泊日の12時まで、朝食は当日15時まで。素泊まりも選べるが、徒歩圏に飲食店とコンビニがないため、下の子が眠くなる時間帯に外へ食べに出る前提は現実的でない。

1泊2日の時間割
体験の会場とホテルは同じ中津川市内だが、直線でおよそ10km離れている。車で20〜30分を見ておくと、当日の焦りが減る。
1日目 10時00分、名古屋方面からならJR特急で中津川駅へ(名古屋から約50分)。車なら中央自動車道の中津川インターから約5分でちこり村に着く。14時00分の回で栗きんとん絞り体験(30〜40分)。ここを14時にすると、午前中を移動に充てられて集合に余裕が出る。15時前後に終わり、車でホテルへ移動して15時30分ごろチェックイン。16時からクアリゾート湯舟沢のプールで1時間半、上がって大浴場へ。18時00分から夕食。就寝前に、持ち帰った6個のうち1個を家族で分ける。
2日目 7時30分朝食、10時チェックアウト。ホテルから車で約5分の馬籠宿へ回って石畳を歩くか、中津川駅前に戻って栄町1-1のにぎわいプラザ1階「にぎわい特産館」(8時30分〜18時)へ。ここでは市内各店の栗きんとんが1個から買える。前日に自分が絞った1個と、職人が絞った1個を並べて食べ比べると、旅の締めくくりとして子どもの記憶に残りやすい。
車を使わない旅程も成立する。中津川駅からホテルまでは無料シャトルバスが約15分(中津川駅前4番乗り場発、9時55分・10時55分・11時55分・13時55分・14時55分・15時55分・16時55分)。ちこり村へはJR中央本線で中津川駅から名古屋方面へ1駅の美乃坂本駅から徒歩約10分。車の場合、ホテルの駐車場は無料で300台、高さ制限なし。ちこり村側も150台分ある。
屋外の栗拾いとは、崩れ方が違う
同じ「秋・栗・子ども」でも、屋外の栗拾いと屋内の絞り体験では、旅程が崩れる条件がまったく違う。栗拾いは雨と、その年の実の落ち方に左右される。前週までの雨量で拾える量が変わり、園によっては開園日が直前に動く。対して絞り体験は屋内・雨天催行で、餡は施設側が用意する。天候による中止の心配がなく、開始時刻も10時か14時に固定されている。予定を先に立てたい家庭には、この「動かなさ」が効く。
ただし、栗を自分の手で拾って重さを感じる経験は、絞り体験にはない。土に触れる時間が旅の目的なら、里山で拾う体験を持つ宿を選ぶほうが噛み合う。中津川の1泊2日は、あくまで「作る工程を理解して帰る」旅である。
向く家族 / 向かない家族
-
向く:
9〜10月の週末に予定を確定させたい家族、雨の予報が出ても旅程を変えたくない家族、7〜12歳が自分で作ったものを持ち帰る体験を探している家族、下の子が3歳以上で一緒に手を動かせる兄弟連れ -
向かない:
栗を土から拾う体験そのものが目的の家族(絞り体験に収穫工程はない)、貸切風呂で家族だけで入りたい家族(花更紗に貸切風呂はない)、ベビーカーで段差なく動きたい乳児連れ(館内はバリアフリーではない)、犬や猫と泊まりたい家族(ペット不可)
具体情報
- 体験の受入年齢: 3歳〜(4歳未満は保護者同伴、13歳未満は保護者の同意が必要)
- 体験の所要時間: 集合から解散まで約30〜40分/開始 10:00・14:00 の1日2回
- 体験料金: 1人 1,800円(税込)、10名以上は1,700円。栗きんとん6個と化粧箱を持ち帰り
- 体験の予約: 2名〜20名、2日前の15:00まで。年末年始を除き無休、雨天催行
- 体験会場: ちこり村(岐阜県中津川市千旦林1-15)/中央道 中津川ICから約5分、JR美乃坂本駅から徒歩約10分、駐車場150台
- 宿の客室: 和室10畳(1〜4名)・12畳(1〜6名)、ファミリールーム28平米(1〜4名)、和洋室67平米・小上がり6畳(2〜5名)、グループ用和室20畳×2室(各10名まで)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00(延長は1時間2,200円、最大12:00まで)
- 食事: 夕食 17:30・18:00・19:00/朝食 7:00・7:30・8:00、いずれも1階お食事処。子ども向けディナープレートは事前申込制
- 温泉: ナトリウム炭酸水素塩泉(源泉100%・循環式)。15:00〜翌1:00、翌朝5:00〜10:00。貸切風呂なし、小学3年生以上の混浴は原則不可
- アクセス: JR中津川駅から無料シャトルバス約15分/駐車場無料300台・高さ制限なし
- そのほか: 全館禁煙、ペット不可、入湯税12歳以上150円、子ども用浴衣90/100/130cm
Media Picks Score
92 / 100 — 公開レビューデータを集計した評価に、編集部の判断を加えて算出している。内訳の考え方は、立地(体験会場まで車20〜30分・中津川駅から無料送迎)、設備(温水プール併設・和室12畳で6名)、体験(雨天でも成立する屋内プログラムとの組み合わせ)、価格感(1泊2名1室で¥27,000〜¥51,000)、テーマ適合度(7〜12歳が工程を理解して帰れること)の5軸。宿の客室数42室に対して家族向けの選択肢が広く、栗きんとんの季節に旅程を固定しやすい点を評価した。
よくある質問
Q. 栗きんとんの絞り体験は何歳から参加できますか?
A. 3歳からです。4歳未満は保護者の同伴、13歳未満は保護者の同意が必要とされています。所要は集合から解散まで約30〜40分で、7〜12歳なら最後まで自分の手で絞りきれます。1人あたり6個作り、化粧箱に入れて持ち帰る形です。申込は2名からなので、子ども1人と親1人でも成立します。
Q. 雨が降ったら中止になりますか?
A. 屋内の会議室で行うプログラムのため、雨天でも実施されます。栗拾いのような屋外の収穫体験と違い、その年の実の落ち方や直前の雨量に予定が左右されません。9月から10月にかけて予定を先に固めたい家族には、この点が大きな違いになります。予約の締切は開催日の2日前15時までです。
Q. 蒸すところから体験できますか?
A. できません。用意されるのは、炊いた栗と砂糖だけで作られた栗きんとん餡で、体験では茶巾で絞る工程を行います。裏ごしまでの下ごしらえは施設側が済ませているため、30〜40分という短さで終わります。工程の全体像は、絞りながら講師が説明してくれます。
Q. 夕食は何時からで、子ども向けの献立はありますか?
A. ホテル花更紗の夕食は17時30分・18時・19時のいずれかを1階のお食事処で。子ども向けには、会席から2品減らした「大人に準ずる食事」と、料理長が組むディナープレートの2通りがあります。ディナープレートは事前申込制なので、予約の段階で伝えます。アレルギーは宿へ直接相談する形で、可能な範囲で対応する方針です。
Q. 添い寝や部屋の定員はどうなっていますか?
A. 和室は10畳が1〜4名、12畳が1〜6名。12畳なら大人2人と小学生2人が布団を並べて眠れます。ベッドのファミリールーム(28平米)は1〜4名で、3名からは布団を足す構成です。3世代なら20畳のグループ用和室が2室あり、各室10名まで。年齢別の添い寝条件は料金プランによって変わるため、予約時に人数と年齢を伝えて確認するのが確実です。
Q. 車がなくても行けますか?
A. 行けます。JR中津川駅からホテルまでは無料シャトルバスが約15分(駅前4番乗り場発、9時55分から16時55分まで毎時運行の便あり)。体験会場のちこり村へは、中津川駅からJR中央本線で名古屋方面へ1駅の美乃坂本駅で降り、徒歩約10分です。ただし、体験の14時開始に合わせるなら列車の本数を先に確認しておく必要があります。
本記事の参考情報
・中津川温泉 ホテル花更紗 公式サイト — 客室・食事・温泉・アクセスの各数値
・ちこり村 公式ブログ「栗きんとん絞り体験」 — 開催時刻・料金・作り方の工程
・中津川観光協会 中津川栗きんとん協議会 — 販売解禁日と市内の和菓子店
・中津川市 観光情報サイト「中津川 栗きんとん」 — 市内の取扱店マップ
編集部から
この旅の中心にあるのは、栗きんとん6個という、持って帰れる小さな成果物である。30〜40分という時間の短さは物足りなく見えるかもしれないが、7〜12歳が集中を切らさずに手を動かし、最初の1個と最後の1個の違いを自分で言える長さは、だいたいこのくらいだ。残りの時間はプールと温泉に預けてしまってかまわない。9月1日に販売が解禁されると、市内の和菓子店の店先が一斉に切り替わる。同じ菓子でも店ごとに甘さと粒の残し方が違うので、帰り道に何軒か買い足して、家で並べてみるのも面白い。栗の季節に旅程を1つだけ固定するなら、天候に左右されないこの30分を先に押さえておく手がある。
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