0–3 歳の子どもと温泉に行きたいけれど、大浴場のハードルが高い。そんな家庭のために編集部が選んだ、貸切風呂で家族交代せずに湯につかれる温泉宿 5 軒を紹介する。受入年齢の制約がない、または乳児の入浴前提で運営されている宿に絞り、ベビーチェアやおむつ用ゴミ箱などの入浴前後の動線まで点検した。掲載は梅雨明け〜夏休み (7–8 月) と紅葉終わりの平日 (11 月) の利用を想定している。
| # | 宿 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 柚富の郷 彩岳館 | 大分・湯布院 | 95 | 24 | ¥64–¥92k | 由布岳を望む貸切風呂 5 つ。乳児も大浴場のベビーチェアで入浴可 |
| 2 | 奥の院 ほてるとく川 | 栃木・日光 | 95 | 22 | ¥72–¥96k | 赤ちゃんに優しい天然水の貸切風呂 2 つ、女湯にベビーベッド |
| 3 | 片瀬館 ひいな | 静岡・東伊豆 | 94 | 23 | ¥39–¥55k | 海を望む貸切風呂 6 つが追加料金なしで一晩中 |
| 4 | 鬼怒川温泉 若竹の庄 | 栃木・鬼怒川 | 94 | 24 | ¥51–¥73k | 八角風呂と六角風呂の貸切 2 種、家族 4 人でも余裕の広さ |
| 5 | いずみ荘 | 岐阜・下呂 | 91 | 23 | ¥22–¥37k | 3 名以下なら ¥22k 台から泊まれる、純和風の貸切風呂宿 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
1. 柚富の郷 彩岳館 — 大分・湯布院
由布岳を正面に望む高台に、貸切風呂を 5 つ持つ宿。乳児連れでも大浴場のベビーチェアで入浴できる運営が、編集部が真っ先に推す理由。
Media Picks Score: 95 / 100 24室、ファミリー対応の温泉旅館。
目安価格 ¥64,000–¥92,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
由布岳を望む高台立地と、敷地内 2 つの源泉から引いた 5 つの貸切風呂が選定の決め手となった。「吟情の湯」「和気の湯」「由布の湯」「倉木の湯」「福万の湯」と命名された風呂は、内湯付きの離れ型で時間制の予約不要なものもあり、乳児を連れて出入りしやすい。さらに、由布院駅⇔当館の無料送迎を行っている点も、車のない子連れ家族には大きな安心材料となる。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、貸切風呂の数の多さと、家族 3〜4 人で入っても狭く感じない湯船のサイズが繰り返し言及される。料理面でも個室会席に対応しており、夜泣きを気にせず食事できる点が乳児連れに支持される。一方、高台立地のため敷地内に階段や坂があり、ベビーカーを常用する家庭は事前に車椅子対応ルートを確認しておくとよい。
向く人 / 向かない人
-
向く:
0–3 歳の乳児を連れた家族 3〜4 人、貸切風呂を 1 泊に複数回利用したい家庭、由布院の散策と組み合わせたい人 -
向かない:
ベビーカー常用で完全段差なしの動線を求める家庭、繁華街の徒歩圏内で過ごしたい旅程、低価格帯を最優先する家族
具体情報
- 最寄り駅: JR 由布院駅から車で約 5 分(無料送迎あり)
- 客室数: 24 室(露天風呂付き客室・スイートあり)
- 貸切風呂: 5 種類(吟情の湯・和気の湯・由布の湯・倉木の湯・福万の湯)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 個室会席(豊後牛・地物中心)、子供メニュー対応
- 受入年齢: 0 歳から添い寝対応
2. 奥の院 ほてるとく川 — 栃木・日光
日光東照宮から車で 5 分。貸切風呂は「赤ちゃんに優しい天然水」を採用し、温泉に入れない月齢の乳児でも家族 4 人で湯につかれる設計。
Media Picks Score: 95 / 100 22室、子連れ運営に定評のある温泉旅館。
目安価格 ¥72,000–¥96,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
貸切露天風呂「水光」「水音」が「吟龍水」という天然水(温泉ではない)を使用している点が、生後 6 か月未満の乳児にとって決定的に重要となる。一般的な温泉宿の貸切は硫黄泉や塩化物泉が中心で、肌の弱い赤ちゃんには使えないケースが多い。さらに女湯の大浴場にはベビーベッドとお風呂用ベビーチェアが備えられており、温泉とお湯の使い分けが宿側で完結する。日光東照宮からのアクセスも観光と組み合わせやすく、移動距離の少ない旅程を組める。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、客室の広さと食事時の離乳食対応に高評価が集中する。0〜1 歳児の利用報告では、離乳食の温度調整やアレルギー対応が好意的に語られる。一方、貸切風呂は事前予約制で人気時間帯は早く埋まる傾向があるため、宿泊予約と同時に風呂枠を押さえる動きが目立つ。歴史ある建物ゆえ、客室棟間の動線に段差があり、ベビーカー利用は事前に部屋タイプを相談したほうがよい。
向く人 / 向かない人
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向く:
生後 6 か月未満の乳児を温泉に同伴したい家庭、日光観光と組み合わせる旅程、離乳食の細やかな対応を求める家族 -
向かない:
硫黄泉など本格的な温泉成分を貸切でも求める人、ベビーカーで完全段差なしの動線を必要とする家庭、安価な滞在を優先する旅程
具体情報
- 最寄り駅: JR・東武日光駅から車で 5 分(東照宮から徒歩圏内)
- 客室数: 22 室(露天風呂付き客室あり)
- 貸切風呂: 2 室(水光・水音)— 天然水「吟龍水」使用
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 会席料理、離乳食の温め直し対応
- 受入年齢: 0 歳から(添い寝無料、ベッドガード等の寝具プランは要問合せ)
3. 片瀬館 ひいな — 静岡・東伊豆
海一望の貸切風呂が 6 つ、追加料金なしで一晩中。子どもがぐずって急に湯に行きたくなっても、予約に縛られない自由さが家族旅に効く。
Media Picks Score: 94 / 100 23室、伊豆の海を望む湯宿。
目安価格 ¥39,000–¥55,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
9 つの温泉のうち 6 つが「海一望の貸切風呂」で、利用時間内なら予約不要・無料・回数無制限という運営方針が、子連れ家族の入浴計画を根本から楽にする。さらに 5〜7 人入れる家族風呂(貸切内風呂)は一晩中利用可能で、夜泣きで急に湯に行きたくなった家族にも対応する。価格帯も今回の 5 軒の中では中庸で、海水浴と組み合わせる夏休みの旅程に組み込みやすい。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、貸切風呂の予約不要という運営に対する好意的な言及が圧倒的に多い。家族 4 人で入っても余裕の湯船が複数あり、子どもが泣いても他客に気兼ねしないという心理的負担の軽さが繰り返し語られる。一方、駅からのアクセスは伊豆稲取駅から送迎で、最寄りの大規模観光地まではやや距離があるため、宿でゆっくり過ごす旅程に向く。
向く人 / 向かない人
-
向く:
家族 4 人以上で湯に何度も入りたい旅、夏の海と温泉を一度に楽しみたい旅程、貸切予約のストレスを避けたい家庭 -
向かない:
移動量の多い周遊旅程、館内が新しいリゾート感を求める人、繁忙期にプライベート感の高い貸切を求める家庭(夏休み中は時間帯によって混雑)
具体情報
- 最寄り駅: 伊豆急行 伊豆稲取駅から車で 5 分(送迎あり)
- 客室数: 23 室(海一望露天風呂付客室・露天風呂付特別室あり)
- 貸切風呂: 海一望貸切露天 6 つ(予約不要・無料)+ 大型貸切内風呂 1 つ
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 海鮮中心の和会席、子供メニュー対応
- 受入年齢: 0 歳から添い寝対応
4. 鬼怒川温泉 若竹の庄 — 栃木・鬼怒川
川沿いの全室と、八角・六角の貸切風呂 2 種。家族 4 人で 10 畳+4.5 畳の二間に泊まり、夫婦交代でゆっくり湯につかる旅程を組める。
Media Picks Score: 94 / 100 24室、庄屋造りの鬼怒川温泉旅館。
目安価格 ¥51,000–¥73,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
全室が川沿いに配置されており、二間続きの 10 畳+4.5 畳プランは家族 4 人の旅程に余裕を生む。貸切風呂は八角形の「寿衛子(すえこ)」と石造りの「あいこ」の 2 種類で、チェックイン時の先着予約制(別途 45 分 3,300 円)。客室がゆったりしている分、就寝中の子どもを置いて夫婦が交代で貸切に入る運用がしやすい。鬼怒川温泉という観光地の利便性も組み合わせやすい。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、客室の広さと川沿いの眺望に対する評価が安定して高い。家族旅行での利用報告では「子どもの昼寝時間を確保できる客室の余裕」が好意的に語られる。一方、貸切風呂は人気のため、当日チェックイン時に良い時間帯から埋まる傾向があるため、早めのチェックイン到着が推奨される。
向く人 / 向かない人
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向く:
家族 4 人で広い二間客室に泊まりたい家庭、東京から日帰り圏内で温泉を楽しみたい人、東武鉄道で乗り換えなしのアクセスを重視する家族 -
向かない:
貸切が無料・無制限の宿を求める人、夕食を朝食ビュッフェ込みの自由な時間で済ませたい旅程、館内のモダンなデザインを優先する家庭
具体情報
- 最寄り駅: 東武鬼怒川温泉駅から車で 5 分(送迎あり)
- 客室数: 24 室(全室川沿い、12.5 畳の一間タイプ・10 畳+4.5 畳の二間タイプ)
- 貸切風呂: 八角風呂「寿衛子」・六角風呂「あいこ」の 2 種(45 分 3,300 円・要予約)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 庄屋造りの個室会席、子供メニュー対応
- 受入年齢: 0 歳から添い寝対応
5. 下呂温泉 いずみ荘 — 岐阜・下呂
下呂温泉の街中に建つ純和風の宿。¥22k 台から泊まれる価格と、貸切風呂のある運営が、温泉旅行デビューの家族に手の届く選択肢を作る。
Media Picks Score: 91 / 100 23室、純和風の温泉旅館。
目安価格 ¥22,000–¥37,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
日本三名泉の一つ下呂温泉の街中という立地と、¥22,000 台から泊まれる価格帯が、温泉旅行に慣れていない子連れ家族にとって最初の一歩となる。野趣のある岩風呂と庭園風露天風呂、そして貸切風呂を備え、夜は街の散策、朝は風呂と気軽に組める。下呂温泉街全体が子連れ歓迎の旅館協同組合運営のもと整備されていて、街全体としてのインフラに親しみがあるのも特徴。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、コストパフォーマンスと食事の充実度に対する評価が中心となる。家族旅行での利用では、客室の使い勝手と街中の利便性が支持される一方、貸切風呂の数は他の宿に比べると控えめなため、複数回の貸切利用を計画する家族は予約時間の事前調整が望ましい。下呂温泉そのものの泉質(アルカリ性単純温泉)は刺激が穏やかで、6 か月以上の乳児入浴に向く。
向く人 / 向かない人
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向く:
初めての家族温泉旅行で予算を抑えたい家庭、下呂温泉街の街歩きを楽しみたい人、刺激の穏やかな泉質を 6 か月以上の乳児に体験させたい家族 -
向かない:
ラグジュアリーな客室・最新設備を求める家庭、貸切風呂を何度も入りたい旅程、車での移動が前提でない家族(名古屋から特急で 1.5 時間)
具体情報
- 最寄り駅: JR 下呂駅から徒歩 10 分
- 客室数: 23 室(純和室中心)
- 貸切風呂: 岩風呂・庭園風露天と貸切の組み合わせ
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 飛騨牛中心の会席、子供メニュー対応
- 受入年齢: 0 歳から添い寝対応
よくある質問
Q. 0 歳の赤ちゃんを温泉に入れても大丈夫ですか?
A. 小児科医の多くは生後 6 か月以降を目安に推奨します。それ以前の月齢では、温泉ではない貸切風呂を持つ宿(本記事 2 位の奥の院 ほてるとく川は「吟龍水」という天然水の貸切を用意)を選ぶか、客室のシャワーで対応するのが現実的です。温泉の泉質も重要で、刺激の弱いアルカリ性単純温泉(下呂温泉など)から始めるのが編集部が推す順序です。
Q. 貸切風呂は予約が必要ですか?
A. 宿によって異なります。本記事の中では片瀬館 ひいな (東伊豆) が予約不要・無料で 6 つの貸切を一晩中利用できる運営です。他の宿(柚富の郷 彩岳館、ほてるとく川、若竹の庄、いずみ荘)はチェックイン時または事前予約制で、人気時間帯は早く埋まる傾向があります。家族旅行を計画するなら、宿泊予約と同時に貸切枠の確保を相談するのが安全です。
Q. ベビーカーは持ち込めますか?
A. 5 軒とも持ち込みは可能ですが、館内の動線は宿により段差の有無が異なります。歴史ある旅館(奥の院 ほてるとく川、いずみ荘)は段差のある棟がある場合があるため、ベビーカー常用の家庭は予約時に「車椅子対応ルートのある客室」を希望すると確実です。柚富の郷 彩岳館は高台立地のため、玄関までの坂は車での送迎を活用する運用が一般的です。
Q. 離乳食やアレルギー対応はありますか?
A. 5 軒すべてで離乳食の温め直しに対応します。アレルギー対応は事前申告が必要で、宿泊予約時の備考欄に記入するか、宿に直接連絡する形になります。とくに奥の院 ほてるとく川と柚富の郷 彩岳館は子連れ運営の実績が長く、月齢に応じた食材変更(おかゆ・薄味化など)にも応じやすい傾向があります。
Q. 駐車場はありますか?
A. 5 軒すべて無料駐車場を備えています。最寄り駅からの送迎も柚富の郷 彩岳館(由布院駅から 14:30〜17:30)、片瀬館 ひいな(伊豆稲取駅)、鬼怒川温泉 若竹の庄(鬼怒川温泉駅)で運行しており、車のない家庭でも旅程を組めます。新幹線+特急で訪れる場合は、ベビーカー+荷物の移動を考えると送迎付きの宿が現実的な選択になります。
本記事の参考情報
・日本政府観光局 (JNTO) — 全国の温泉地情報
・Wikipedia: 下呂温泉 — 日本三名泉の歴史と泉質
・Wikipedia: 由布院温泉 — 湯布院の歴史と地理
編集部から
5 軒に共通する選定軸は、「貸切風呂」を単なる設備ではなく、子連れ家族が温泉旅行を成立させるための運営思想として備えている点にある。乳児の月齢に応じた湯(温泉と天然水の使い分け)、予約方式の柔軟さ、客室の広さによる夫婦交代の運用しやすさ、離乳食の対応力。これらが連動して初めて、0–3 歳の子どもとの温泉旅行が「気苦労ばかりの旅」ではなく「家族の記憶に残る滞在」に変わる。次回は紅葉終わりの平日に絞った、3–6 歳の保育園世代向けの貸切風呂宿を取り上げる予定。それまでに、温泉デビューの一軒を、この記事から選んでみてはどうだろうか。