入湯税は多くの市町村で12歳未満が免除される一方、宿泊税には年齢による免除の規定がない。だから同じ家族でも、泊まる自治体が違えば「子どもの分」が明細に載ったり載らなかったりする。金額にすれば数百円の差でしかない。それでも、精算書を受け取ったときに「なんで下の子の分だけないの?」と聞かれて答えられないのは、少しもったいない。ここでは入湯税と宿泊税の線引きが実際に違う3つの自治体を並べ、家族4人で泊まったときに明細がどう変わるかを、宿の実例とあわせて整理する。
| 自治体 | 入湯税 | 入湯税の年齢免除 | 宿泊税 | 宿泊税の年齢免除 |
|---|---|---|---|---|
| 神奈川県 箱根町 | 宿泊1人1泊 150円(日帰り50円)の一律 | 12歳未満は課税免除 | 課税なし | — |
| 大分県 別府市 | 宿泊料金・飲食料金の合計で50/100/150/250/500円の5段階 | 12歳未満は課税免除 | 課税なし | — |
| 京都府 京都市 | (温泉のある施設に限り課税) | — | 1人1泊 200/400/1,000/4,000/10,000円(2026年3月1日の宿泊から) | 年齢による免除の規定なし |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。入湯税・宿泊税は目安価格に含みません。
入湯税は「12歳未満」で線が引かれる — 箱根町の場合
入湯税は温泉に入る行為にかかる市町村の目的税で、税額も免除の条件も、各市町村の条例で決まる。箱根町の場合は宿泊する人が1人1泊150円、日帰りが1人50円。そして課税が免除されるのは「年齢12歳未満の方」で、町の説明にはさらに具体的な定義が添えられている。小学生以下、または12歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある方、という書き方だ。
この一文が実務上は効いてくる。12歳の誕生日を迎えた小学6年生でも、卒業までの3月31日までは免除の側に残る。学年で切っているように見えて、根拠は「12歳」という年齢と、その後の最初の年度末という2段構えになっている。小6の子を連れた春休みの旅で、下の子だけでなく上の子の分も明細に載らない、という状況はここから生まれる。
もうひとつ、宿の子ども料金と入湯税は別々の物差しで動く点も押さえておきたい。宿が小学生から料金を取っていても、それは宿の料金体系の話であって、入湯税の免除とは連動しない。料金は発生するが税は0円、という組み合わせが普通に起きる。
箱根湯本温泉 吉池旅館(神奈川県足柄下郡箱根町)
定員5〜10名の二間続き和室があり、家族4人でも布団を敷き分けられる箱根湯本の一軒。
Media Picks Score: 92 / 100 64室、和室主体の温泉旅館。
目安価格 ¥59,000–¥97,000 / 泊 (2名1室・通常期)

公式サイトの客室案内によると、二間大部屋客室は定員5〜10名で、2室が連なるコネクティングタイプ。世帯ごとや男女別に布団を敷き分けられると明記されている。祖父母を含む3世代でも、就寝の場所を分けやすい造りです。約1万坪の池泉回遊式庭園「山月園」を囲むように3棟が建ち、全64室に温泉が引ける。夏は6月1日から9月30日まで、源泉を使った露天の温泉ガーデンプールが動く。
子ども料金は公式サイトのFAQに掲載されている。1室大人2名以上の場合で、小学生は大人料金の70%、幼児(食事・布団あり)は50%、幼児(布団あり)は30%、幼児(食事・布団なし)で2歳以上〜未就学児は3,300円(税込)。つまり小学生の子には宿泊料金が発生するが、箱根町の入湯税は12歳未満が免除なので、税の欄には載らない。大人2人・小学生1人・幼児1人で泊まれば、入湯税は150円×2人=300円だけになる計算です。
具体情報
- 最寄り駅: 箱根湯本駅から徒歩約7分
- 客室: 全64室/二間大部屋客室は定員5〜10名、コネクティングタイプ
- チェックイン: 14:00〜(夕食付は最終17:00、夕食なしは22:00)/アウト 〜10:00
- 食事: 朝食・夕食とも食事処(朝食 8:00〜9:30、夕食 18:00〜21:30)
- 駐車場: 70台・無料・予約不要(屋根付きあり)
- 温泉: 自家源泉6本、大浴場・露天風呂・貸切風呂あり
同じ入湯税でも金額が違う — 別府市は料金で5段階
入湯税を「1人150円」と覚えていると、別府市の明細で戸惑うことになる。別府市は標準の税率に上乗せする超過課税を行っていて、税額が料金に応じた5段階になっている。市の公式ページによれば、判定に使うのは宿泊料金または飲食料金(消費税を含まない)で、宿泊と飲食の両方が発生する場合は合計額で計算する。1,500円以上2,000円以下で50円、2,001円以上4,500円以下で100円、4,501円以上6,000円以下で150円、6,001円以上50,000円以下で250円、50,001円以上で500円。7泊8日以上の長期滞在者はそれぞれ半額になる。
市のページには計算例まで載っている。宿泊5,000円+飲食1,300円=6,300円なら入湯税は250円、という具合だ。夕食と朝食が付く一般的な旅館の泊まり方だと、大人はほぼ6,001円以上の区分に入る。箱根町の150円と比べると、大人1人あたり100円の差が出る。
それでも子どもの扱いは箱根町と同じで、別府市も課税免除の対象に「年齢12歳未満の者」を挙げている。段階が細かくても、その手前で子どもは免除の側に振り分けられる。大人2人・子ども2人(いずれも12歳未満)で2食付きに泊まれば、入湯税は250円×2人=500円。段階制の複雑さは、実は大人の分だけに効いてくる。
別府温泉 ホテル白菊(大分県別府市)
本間10畳+ベッドルーム8畳で75㎡という二間続きがあり、別府駅から歩いて8分の老舗。
Media Picks Score: 91 / 100 98室、昭和25年創業の温泉ホテル。
目安価格 ¥51,000–¥69,000 / 泊 (2名1室・通常期)

客室案内によると、二間続き和モダンは本間10畳+ベッドルーム8畳の約75㎡で定員1〜5名。上層階和洋室は本間8〜10畳+ベッドルーム8畳の32〜47㎡で定員2〜6名です。畳の部屋とベッドの部屋が分かれているので、子どもを先に寝かせてから大人が起きている時間をつくりやすい。
朝食ビュッフェは80種類以上で、目の前で焼く郷土菓子など作りたてに寄せた構成。館内には源泉掛け流しの大露天風呂があり、その温泉があるからこそ明細に入湯税が並ぶことになる。別府駅西口から青山通りを山側へ徒歩約8分、路線バスなら「ホテル白菊前」まで約3分と、荷物と子どもを抱えていても選択肢がある立地です。
具体情報
- 最寄り駅: 別府駅西口から徒歩約8分(路線バス「ホテル白菊前」下車 約3分)
- 客室サイズ: 二間続き和モダン 約75㎡(定員1〜5名)/上層階和洋室 32〜47㎡(定員2〜6名)
- チェックイン: 15:00〜18:00/アウト 〜11:00
- 食事: 朝食ビュッフェ80種類以上、夕食は個室・部屋食・最上階ダイニングから選択
- 創業: 昭和25年(1950年)
- 駐車場: 70台・無料
宿泊税には年齢の線引きがない — 京都市の場合
ここまでの2つは入湯税の話で、いずれも12歳未満が免除だった。宿泊税はまったく別の仕組みになる。京都市の宿泊税は2026年3月1日の宿泊から税率が改定され、1人1泊あたり、宿泊料金6,000円未満で200円、6,000円以上20,000円未満で400円、20,000円以上50,000円未満で1,000円、50,000円以上100,000円未満で4,000円、100,000円以上で10,000円となっている。
そして課税免除の対象として条例に挙がっているのは、学校が主催する修学旅行その他の学校行事に参加している児童・生徒・学生とその引率者、および保育所や認定こども園などが主催する行事に参加する満3歳以上の幼児とその引率者に限られる。家族旅行の子どもは、ここには入らない。市の案内も「宿泊者の年齢に関わらず、宿泊料金が発生する場合は、課税されます」とはっきり書いている。
もうひとつ、判定に使う「宿泊料金」の中身も入湯税とは違う。京都市の宿泊料金は食事代と消費税を除いた素泊まり料金で、清掃代・寝具使用料・入浴代・寝衣代・サービス料などは含まれる。寝具使用料が含まれるという点は、子連れには地味に重要です。添い寝で料金が発生しない子には宿泊料金がないが、布団を1組追加してその分の料金を払えば、それは宿泊料金として扱われる。
1室いくらの部屋に家族で泊まる場合の考え方も、市が計算例を示している。1室1泊の料金を宿泊人数で割って、1人1泊あたりの宿泊料金を出す。市の例では1室20,000円のツインに1人で泊まれば1人あたり20,000円、2人で泊まれば1人あたり10,000円となり、人数が増えるほど1人あたりの区分は下がる。家族4人で1室を使うと、1人あたりの金額は自然と低い段に落ちる、という関係です。
リーガロイヤルホテル京都(京都府京都市下京区)
ベッド4台で最大6名まで入るファミリールームがあり、京都駅から徒歩約7分。
Media Picks Score: 91 / 100 489室、京都駅近くの大型シティホテル。
目安価格 ¥27,000–¥53,000 / 泊 (2名1室・通常期)

公式サイトの客室案内では、レギュラーフロアに最大6名まで泊まれるファミリー、華小路フロアにベッドが4台のファミリーが用意されている。1室に家族が収まるので、前述の「1室料金を人数で割る」考え方がそのまま効く部屋タイプです。館内には通年営業の室内プールがあり、雨の日や社寺めぐりで歩き疲れた翌日の逃げ場になる。線路側を向いたトレインビュールームもあり、電車を見たがる子には強い。
このホテルは公式サイトに「京都市宿泊税のお知らせ」というページを設けていて、2026年3月1日の宿泊から新税率が適用されること、宿泊契約や支払いの日付にかかわらず宿泊日で判定されることを案内している。予約が去年のうちに済んでいても、泊まる日が3月1日以降なら新しい税率になる。この案内が公式サイトにあるかどうかは、宿を比べるときの一つの目印になります。
具体情報
- 最寄り駅: 京都駅から徒歩約7分(京都駅からの送迎バスあり)
- 客室: 全489室/ファミリーは最大6名、ベッド4台のタイプもあり
- チェックイン: 14:00〜/アウト 〜11:00
- 館内: 室内プール(通年)、和洋中のレストラン、トレインビュールーム
- 駐車場: 無料駐車場あり
予約前に、どこを見れば分かるか
結局のところ確認先は2つしかない。1つは泊まる市町村の公式ページで、「入湯税」「宿泊税」で検索すると税額と課税免除の一覧にたどり着く。免除の欄に「12歳未満」と書いてあれば入湯税、そこに年齢の記載がなければ宿泊税、と読み分けられます。市町村のページは条例の改正に合わせて更新されるので、更新日も一緒に見ておきたい。
もう1つは宿の公式サイトの、宿泊約款か予約画面の料金内訳です。入湯税や宿泊税は宿泊料金とは別建てで現地払いになることが多く、予約時に表示される合計額に入っていない場合がある。金額の大小の問題ではなく、チェックアウトのときに想定外の行が増えるかどうかの問題なので、先に見ておくと会計が短く済む。
そのうえで、子どもに説明するなら次の一行で足りる。温泉のお湯に入る税金は12歳になるまでかからないところが多くて、泊まること自体にかかる税金は年齢で分けていない。だから箱根と別府では下の子の欄が空いていて、京都では空いていない。数字の意味が分かると、精算書は少しだけ読み物になります。
よくある質問
Q. 入湯税は全国どこでも「12歳未満は無料」ですか?
A. いいえ。税額も課税免除の条件も、市町村の条例で個別に決まります。本記事で確認した箱根町と別府市はいずれも「年齢12歳未満」を課税免除の対象に挙げていますが、この扱いが全国共通というわけではありません。泊まる市町村の公式ページで、入湯税のページにある課税免除の一覧を確認するのが確実です。
Q. 入湯税と宿泊税は、両方かかることがありますか?
A. あります。入湯税は温泉のある施設に泊まったときにかかる市町村の税、宿泊税は宿泊そのものにかかる自治体の税で、根拠が別です。宿泊税を導入している自治体の温泉のある宿に泊まれば、明細に2行並ぶことになります。本記事の3自治体では、箱根町と別府市は入湯税のみ、京都市は宿泊税が課されます。
Q. 添い寝で料金がかからない子にも宿泊税はかかりますか?
A. 京都市の案内では、宿泊者の年齢に関わらず、宿泊料金が発生する場合に課税されると説明されています。京都市の宿泊料金には寝具使用料が含まれるため、布団を追加してその料金を払う場合は宿泊料金が発生していることになります。実際の取扱いは施設によって異なるので、予約時に料金内訳を確認するのが安全です。
Q. 2食付きのプランだと、税額はどう決まりますか?
A. 自治体で考え方が違います。別府市の入湯税は宿泊料金と飲食料金の合計(消費税を除く)で段階を判定し、市は宿泊5,000円+飲食1,300円=6,300円で250円という例を示しています。一方、京都市の宿泊税は食事代を含まない素泊まり料金で判定します。同じ「2食付き2万円」でも、どこを基準に見るかが異なります。
Q. 1室いくらのプランで家族4人が泊まる場合はどう計算しますか?
A. 京都市は、1室1泊の料金を宿泊人数で割って1人1泊あたりの宿泊料金を出す計算例を公表しています。1室20,000円のツインなら、1人利用で1人あたり20,000円、2人利用で10,000円という具合です。人数が増えるほど1人あたりの金額は下がるため、家族で1室を使うと1人あたりの区分は低い段に入りやすくなります。
本記事の参考情報
・箱根町「入湯税」 — 税率および課税免除の範囲
・別府市「入湯税」 — 5段階の税率表と課税免除の範囲
・京都市「宿泊税について」 — 2026年3月1日以降の税率と課税免除の規定
・京都市「宿泊税に関するよくある質問(徴収について)」 — 宿泊料金の範囲と1室料金の計算例
編集部から
税額そのものは、家族4人でも数百円から千円台にとどまります。旅の予算を左右する額ではない。それでも今回3つの自治体を並べてみて残ったのは、同じ「子ども」という言葉が、条例ごとに違う場所で線を引かれているという事実でした。12歳未満で切る自治体、料金の大きさで段を分ける自治体、年齢では分けない自治体。制度を作った目的が違えば、線の引き方も違う。年末年始の家族旅行を予約する時期に、宿の料金表と一緒に自治体のページを一度開いてみると、精算書の見え方が変わります。次はどの街の明細を読み解いてみますか。